地獄の夏

 八月二十四日。木曜日。 曇り。地獄の夏。気が狂うかも知れぬ。いやだ、いやだ。何度、自殺を考えたか分らぬ。三味線が、ひけるようになりましたよ。踊りも出来ます。毎日、毎日、午前十時から午後四時まで。演技道場は、地獄の谷だ! 学校は止《や》めている。もう、他に行くところがないのだ。罰だ! やっぱり役者...

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正式の通知

「さあ、どうでしょうかね。」とあいまいな返事をした。 合格ならば、一週間以内に、正式の通知が来るのだそうだ。僕たちは市電の停留所でわかれた。 兄さんに知らせたら大喜びだ。こんなに喜んだ兄さんを見た事がない。「よかったねえ、よかったねえ、進は、やっぱり役者になるのがよかったんだ。六百人の中から二...

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春秋座より速達あり

 七月六日。木曜日。 曇り。けさは、眠くて、どうしても起きられず、学校を休む。 午後二時、春秋座より速達あり。「健康診断を致しますから、八日正午、左記の病院に此《こ》の状持参にておいで下さい。」とあって、虎《とら》の門《もん》の或る病院の名が書かれていた。 所謂《いわゆる》、第二次考査の通知で...

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