[ カテゴリー » 日 記 ]

下谷《したや》の姉さん

 けさは八時頃、下谷《したや》の姉さんから僕に電話だ。一大事だから、すぐに兄さんと二人で、下谷へ来てくれ、一大事、一大事、と笑いながら言うのである。どうしたのです、といくら尋ねても教えない。とにかく来てくれ、と言う。仕方が無い。兄さんと二人で、大急ぎでごはんを食べて下谷へ出かける。「なんだろうね。...

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紀《き》の国《くに》やさん

「君は毎日毎日、ちがう本を、ポケットにいれて来るそうだね。本当に、読んでるのかい?」と薄笑いしながら言った。 僕は返事をしなかった。腹の中で、こう言った。紀《き》の国《くに》やさん、これからの役者は、あなたみたいに芸ばかり達者でもだめですよ。 十日ほど前、市川菊之助は、僕をレインボウへ連れて行っ...

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地獄の夏

 八月二十四日。木曜日。 曇り。地獄の夏。気が狂うかも知れぬ。いやだ、いやだ。何度、自殺を考えたか分らぬ。三味線が、ひけるようになりましたよ。踊りも出来ます。毎日、毎日、午前十時から午後四時まで。演技道場は、地獄の谷だ! 学校は止《や》めている。もう、他に行くところがないのだ。罰だ! やっぱり役者...

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